<施策(しさく)・機関(きかん)の概要(がいよう)>

いろいろな理由(りゆう)で小学校(しょうがっこう)や中学校(ちゅうがっこう)に通(かよ)えず、義務教育(ぎむきょういく)を修了(しゅうりょう)できなかった人(ひと)のために、夜間中学校(やかんちゅうがっこう)があります。さまざまな年齢(ねんれい)・国籍(こくせき)・経験(けいけん)をもつ人(ひと)が、その人(ひと)の学力(がくりょく)にあわせて勉強(べんきょう)をしています。

公立夜間中学校(こうりつやかんちゅうがっこう)は10都府県(とふけん)に34校(こう)あります。〈※2020年(ねん)4月時点(がつじてん)〉。2016年(ねん)には、あたらしい法律(ほうりつ)〈義務教育(ぎむきょういく)の段階(だんかい)における普通教育(ふつうきょういく)に相当(そうとう)する教育(きょういく)の機会(きかい)の確保等(かくほとう)に関(かん)する法律(ほうりつ)〉ができ、すべての地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)は、夜間中学校(やかんちゅうがっこう)などにおいて学(まな)ぶことができる機会(きかい)を提供(ていきょう)しなければならないとされました。また、文部科学省(もんぶかがくしょう)は、すべての都道府県(とどうふけん)に少(すく)なくともひとつは夜間中学(やかんちゅうがっこう)を設置(せっち)することをめざしています。

夜間中学校(やかんちゅうがっこう)は、卒業(そつぎょう)すると昼間(ひるま)の中学校(ちゅうがっこう)と同(おな)じ卒業資格(そつぎょうしかく)が得(え)られ、高校(こうこう)などに進学(しんがく)したり、国家資格(こっかしかく)を取(と)ったりする人(ひと)も少(すく)なくありません。 義務教育(ぎむきょういく)ですので、授業料(じゅぎょうりょう)と教科書代(きょうかしょだい)は無料(むりょう)です。また、教材費(きょうざいひ)などについては、就学援助制度(しゅうがくえんじょせいど)を利用(りよう)できる場合(ばあい)もあります。

<Q&A>

Q1 夜間中学校(やかんちゅうがっこう)は、どこにありますか。
公立(こうりつ)の夜間中学校(やかんちゅうがっこう)は、東京都(とうきょうと)、千葉県(ちばけん)、埼玉県(さいたまけん)、茨城県(いばらきけん)、神奈川県(かながわけん)、大阪府(おおさかふ)、京都府(きょうとふ)、兵庫県(ひょうごけん)、奈良県(ならけん)、広島県(ひろしまけん)の10都府県(とふけん)に34校(こう)あります。各学校(かくがっこう)の連絡先(れんらくさき)は以下(いか)のホームページから調(しら)べることができます。

文部科学省(もんぶかがくしょう)ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/yakan/index.htm

それ以外(いがい)には、全国(ぜんこく)に約(やく)30カ所(かしょ)の自主夜間中学(じしゅやかんちゅうがく)があります。自主夜間中学(じしゅやかんちゅうがく)では、ボランティアによる運営(うんえい)がおこなわれ、学習者(がくしゅうしゃ)の要求(ようきゅう)に応(こた)えるさまざまな学習(がくしゅう)や行事(ぎょうじ)などもおこなわれています。各自主夜間中学(かくじしゅやかんちゅうがく)の連絡先(れんらくさき)などは以下(いか)のホームページから調(しら)べることができます。

全国夜間中学校研究会(ぜんこくやかんちゅうがっこうけんきゅうかい)ホームページ
http://www.zenyachu.sakura.ne.jp/public_html/jishuyachu.html

Q2 どんな人(ひと)が入学(にゅうがく)できますか。
小学校(しょうがっこう)や中学校(ちゅうがっこう)を卒業(そつぎょう)していない方(かた)で、学齢(がくれい)〈15歳(さい)〉を超(こ)えている人(ひと)が入学(にゅうがく)できます。外国(がいこく)から日本(にほん)へ来(き)た人(ひと)は、外国(がいこく)での学校教育(がっこうきょういく)の経験(けいけん)が9年より短(みじか)いなら入学(にゅうがく)できます。 また、文部科学省(もんぶかがくしょう)は、中学校卒業証書(ちゅうがっこうそつぎょうしょうしょ)をもっているものの、不登校(ふとうこう)や虐待(ぎゃくたい)ほかさまざまな家庭(かてい)の事情(じじょう)で十分中学校(じゅうぶんちゅうがっこう)の教育(きょういく)を受(う)けられなかった場合(ばあい)は、夜間中学校入学(やかんちゅうがっこうにゅうがく)を可能(かのう)としています。その通知(つうち)を2015年(ねん)7月(がつ)に全国(ぜんこく)の教育委員会(きょういくいいんかい)に出(だ)しました。

【参考資料(さんこうしりょう)】
文部科学省(もんぶかがくしょう)「義務教育修了者(ぎむきょういくしゅうりょうしゃ)が中学校夜間学級(ちゅうがっこうやかんがっきゅう)への再入学(さいにゅうがく)を希望(きぼう)した場合(ばあい)の対応(たいおう)に関(かん)する考(かんが)え方(かた)について(通知(つうち))」(2015年(ねん)7月(がつ)30日(にち))
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1361951.htm

Q3 どんな人(ひと)が勉強(べんきょう)していますか。
10歳代後半(さいだいこうはん)から80歳代以上(さいだいいじょう)までの日本人(にほんじん)〈戦争(せんそう)や貧困(ひんこん)のため学校(がっこう)へ行(い)けなかった人、元不登校(もとふとうこう)・ひきこもり、障(しょう)がいのある人(ひと)など〉、仕事(しごと)や国際結婚(こくさいけっこん)で日本(にほん)に来(き)た外国人(がいこくじん)やその家族(かぞく)、中国帰国者(ちゅうごくきこくしゃ)、在日韓国(ざいにちかんこく)・朝鮮人(ちょうせんじん)、難民(なんみん)など、さまざまな人(ひと)が学(まなん)んでいます。

Q4 どんな勉強(べんきょう)をしますか。行事(ぎょうじ)や給食(きゅうしょく)はありますか。
小学校や(しょうがっこう)中学校(ちゅうがっこう)の各教科(かくきょうか)の勉強(べんきょう)のほか、日本語(にほんご)がわからない人(ひと)には教科(きょうか)の勉強(べんきょう)をはじめる前(まえ)に、日本語(にほんご)の授業(じゅぎょう)をおこなう学校(がっこう)もあります。多(おお)くの学校(がっこう)で遠足(えんそく)や運動会(うんどうかい)、修学旅行(しゅうがくりょこう)などの行事(ぎょうじ)もあります。また、給食(きゅうしょく)のある学校(がっこう)もあります。

Q5 何時(なんじ)から何時(なんじ)まで勉強(べんきょう)しますか。
多(おお)くの学校(がっこう)では、午後(ごご)5時(じ)30分(ぷん)から午後(ごご)9時(じ)ごろまで勉強(べんきょう)します。

Q6 1クラスの生徒(せいと)は何人(なんにん)ぐらいですか。
多(おお)くの学校(がっこう)では5~6人(にん)から15~16人(にん)で、その人(ひと)の学力(がくりょく)にあわせた授業(じゅぎょう)をおこなっています。

Q7 何年間勉強(なんねんかんべんきょう)しますか。
学校教育法(がっこうきょういくほう)では3年間(ねんかん)ですが、その人(ひと)の学習歴(がくしゅうれき)やそのほかの条件(じょうけん)により、3年間(ねんかん)より長(なが)かったり短(みじか)かったりする場合(ばあい)もあります。また、学校(がっこう)・地域(ちいき)によってもちがいます。

Q8 費用(ひよう)は、どのくらいかかりますか。
義務教育(ぎむきょういく)ですので、授業料(じゅぎょうりょう)と教科書代(きょうかしょだい)は、無料(むりょう)です。教材費(きょうざいひ)や行事費等(ぎょうじとう)の金額(きんがく)は、学校(がっこう)によってちがいますが、就学援助制度(しゅうがくえんじょせいど)を利用(りよう)し負担(ふたん)を少(すく)なくできる場合(ばあい)もあります。

Q9 どんな資格(しかく)が取(と)れますか。進路(しんろ)はどうですか。
昼間(ひるま)の中学校(ちゅうがっこう)と同(おな)じ卒業資格(そつぎょうしかく)が得(え)られます。卒業後(そつぎょうご)は、定時制高校(ていじせいこうこう)や昼間部(ちゅうかんぶ)の高校(こうこう)に進学(しんがく)する人(ひと)も少(すく)なくありません。その後(ご)、大学(だいがく)へ進学(しんがく)する人(ひと)もいます。また、職業訓練校(しょくぎょうくんれんこう)に入(はい)ったり、調理師(ちょうりし)などの国家資格(こっかしかく)を取(と)ったりする人もいます。

Q10 夜間中学校(やかんちゅうがっこう)について、国(くに)はどのような考えをもっていますか。
2016年(ねん)にでしたあたらいし法律(ほうりつ)では、つぎのことがはっきり書(か)かれています。

第(だい)3条(じょう)〈理念(りねん)〉
「その年齢又(ねんれいまた)は国籍(こくせき)その他(た)の置(お)かれている事情(じじょう)にかかわりなく、その能力(のうりょく)に応(おう)じた教育(きょういく)を受(う)ける機会(きかい)が確保(かくほ)されるようにする」

この法律(ほうりつ)をふまえ、国及(くにおよ)び文部科学省(もんぶかがくしょう)は夜間中学校設置(やかんちゅうがくせっち)・充実(じゅうじつ)をめざし、「すべての都道府県(とどうふけん)に少(すく)なくとも一つは夜間中学校(やかんちゅうがっこう)を設置(せっち)すること」をあきらかにしました。

【参考資料(さんこうしりょう)】
文部科学省(もんぶかがくしょう)夜間中学校(やかんちゅうがっこう)のご案内(あんない)(パンフレット)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/05/01/1378523_1.pdf