<施策・機関の概要>

母子生活支援施設は、子どもとその母親が一緒に生活することができ、職員によるさまざまな支援が利用できる施設です。
実際に母親と子どもの世帯である方、暴力を受けていて家を出たいと思っている方、「住むところに困った…」「自分だけの育児に不安…」「離婚したいけど、そのあと子どもと一緒にいったいどうすればいいの?」と思ったら、とにかくひとまずお近くの福祉事務所に相談してみてください。母子生活支援施設では、入所を希望する方の事前の見学ができます。

<Q&A>

Q1 母子生活支援施設ってどんなところですか?

母子生活支援施設は、児童福祉法(子どもの福祉を守るための法律)の第38条に位置づけられた施設です。児童福祉法は、保育所や児童館、児童養護施設、障害児施設といった子どもが関わる施設・機関についてさまざまなことを定めた法律です。それによると、母子生活支援施設とは、「配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」とされています。むずかしい用語が並びますが、要するに、子どもとその母親が共に生活でき、さまざまな支援を受けることができる施設です。ちなみに、原則として子どもの年齢が18歳になるまでの利用となります(必要な場合には20歳まで延長ができます)。

Q2 どうすれば母子生活支援施設を利用できますか?
お住まいの近くの福祉事務所をお訪ねください。母子生活支援施設を利用するためには、福祉事務所での相談が必要となります。担当の福祉事務所職員が、生活の相談や利用の申し込み、住むところやお金のことなど、いろいろな相談にのります。福祉事務所の職員は、いろいろな角度から相談者の置かれている状況を把握する必要があるため、ときには突っ込んだ質問をすることもあります。相談の際、思わず感情的になってしまうことなどがあるかもしれません。しかしながら、話しにくいと思うこと、聞かれて嫌なことも伝えることで、母子生活支援施設の利用の他に、生活保護制度の利用や必要な情報を知ることができるかもしれません。まずは、相談に訪れてみてください。

Q3 施設の利用料っていくらかかるのですか?
所得税や住民税によって(つまりは収入に応じて)、利用料は変わります。生活保護世帯や非課税世帯など、利用料がかからない場合もあります。福祉事務所での相談の際、確認する必要がある大切なことです。

Q4 母子生活支援施設って、どんなところですか?
母子生活支援施設はもともと、1947(昭和22)年に制定された児童福祉法において「母子寮」として定められました。そして、1998(平成10)年の児童福祉法改正により、名称が「母子生活支援施設」となりました。したがって、施設によっては建物自体がとても古いところもあれば、建て替えによりすっかり新しい建物になった施設もあります。
施設内には、母親と子どものための各居室や相談室、遊びや勉強のための学童室があり、保育を行うための保育室がある施設もあります。現在、母子生活支援施設の設備等を定めた法律(「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」)では、各居室に台所・浴室・トイレを設置するように定められていますが、共同で使用する施設もあります。また、集団生活のため、ある程度の生活上の決まりごとがある施設もあります。
母子生活支援施設で生活を始める前に、実際に見学に行き、建物の設備や施設のルール等を確認し、納得したうえで入居されることをおすすめします。住んでみて、「こんなはずじゃなかったのに…」となってしまうのは、利用する側にとってはもちろん、施設としても残念な思いになってしまいます。「こんなこと聞いても大丈夫?」――もちろん大丈夫です。何でも質問してみてくださいね。

Q5 母子生活支援施設にはどんな人たちがいるのですか?
施設の職員と利用している方たちについてご説明します。まず、施設の職員は、施設長をはじめ母子支援員、少年指導員、保育士、心理士等、さまざまな職種のスタッフがいます。母子生活支援施設を利用している方たちへの支援はもちろん、施設によっては地域の子育て相談を受けたり、ショートステイの受け入れを行ったりすることもあります。また、健康診断が義務づけられているため、地域の病院に嘱託医をお願いしています。
次に、利用している方についてですが、母子生活支援施設に入居する理由は人によってさまざまです。住まいや生活費に困っての入居、自分(母)だけでは日々生きていくのに精一杯だけどそばに子育てを手伝ってくれる人がいれば、子どもと一緒に暮らせると考えての入居…。どんな理由であっても、入居後、子ども達・母達が安心して暮らせるよう、職員はそれぞれのご家庭の状況に応じて相談や支援を提供しています。

Q6 母子生活支援施設ではどんな支援が利用できるのですか?
母子生活支援施設の設備等を定めた法律(「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」)では、「母子生活支援施設における生活支援は、母子を共に入所させる施設の特性を生かしつつ、親子関係の再構築等及び退所後の生活の安定が図られるよう、個々の母子の家庭生活及び稼働の状況に応じ、就労、家庭生活及び児童の養育に関する相談、助言及び指導並びに関係機関との連絡調整を行う等の支援により、その自立の促進を目的とし、かつ、その私生活を尊重して行わなければならない」(29条)とあります。しかし、「生活支援」と一言で言っても、その具体的な中身は多岐にわたります。
たとえば、離婚や養育費等に関する法律相談や家事(お部屋の掃除・食事作り・体調不良時の買い物等)、子育ての相談(病児・病後児保育、子どもの育ちへの不安等)、手当等の手続きに関すること――実際に職員が一緒に、福祉事務所や学校、保育園、病院等に付き添い、手続きや相談の支援を行うこともあります。特に、入居直後はたくさんの手続きが必要になることも多く、母親と子どもがどのようなことに困っていて、何を優先していけばよいのか、どのような支援が必要かを、職員と共に確認するために、日々の相談はもちろん、「自立支援計画」作りに協力していただいています。

*このページの内容は「社会福祉法人 全国社会福祉協議会・全国母子生活支援施設協議会」のホームページでもご覧になれます。写真もあり、母子生活支援施設がどのようなところなのかイメージしやすいかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
http://zenbokyou.jp/boshi/index.html