<施策・機関の概要>

法テラスというのは、他人(個人や会社など)との間でトラブルになり、弁護士に相談したい場合、さらには弁護士を代理人として裁判をおこしたい場合や(相手の起こした裁判に)対応してほしい場合などに、弁護士を紹介し、弁護士費用(弁護士に依頼する時の着手金)を立て替える制度です。正確には、日本司法支援センターという国の運営する法人の通称です。

2007(平成19)年に発足しましたが、それ以前は、日本法律扶助協会という団体が弁護士会の資金援助(弁護士会費の一部)で幅広い弁護士ニーズに応えた援助事業を実施していました。法テラス発足時に、そのうちの①民事事件の代理人弁護士の着手金の立替はそのまま国の資金による事業として引き継がれたのですが(本来事業、民事扶助事業などと言います)、②引き継がれなかった9種類の事業を弁護士会の負担(元は弁護士会費の一部)で事務だけ法テラスに委託しているもの(援助事業とか委託事業と言う)があります。

いずれも法テラスの窓口で受け付けます。

<Q&A>

質問1 どういうトラブルについて援助してもらえるのですか。

答 まず本来事業ですが、民事事件(家庭内の事件も含みます)であって、最終的には裁判所での手続を前提にしたトラブル(交渉も含む)が対象です。行政機関での手続は含まず、生活保護申請など福祉事務所の手続などは委託事業のうちの「高齢者・障害者・ホームレス等に対する法律援助」として扱われます。但し申請が却下され、行政訴訟になれば、本来事業として利用できます。

 

質問2 委託事業にはどのようなものがあるのですか。

答 事業の正式名称は次のとおりです。

刑事被疑者弁護援助

少年保護事件付添援助

犯罪被害者法律援助

難民認定に関する法律援助

外国人に対する法律援助

子どもに対する法律援助

精神障害者に対する法律援助

心神喪失者等医療観察法法律援助

高齢者・障害者・ホームレス等に対する法律援助

以下の説明は、本来事業を主とし、委託事業については、必要に応じて説明します。

 

質問3 どんな支援をしてもらえるのですか。

答 弁護士による相談を受け、書類を作成し、本来事業であれば裁判所の手続の代理人、生活保護については福祉事務所の手続き代理人としての活動をしてもらう件について、その費用(一般の弁護士費用よりも低め)を利用者に代わって立て替えてくれます。また本来事業の対象の事件で司法書士でも扱えるもの(比較的少額の民事事件など)であれば、司法書士も利用できます。

 

質問4 利用者はどんな負担を負うのですか。

答 本来事業であれば立て替えてもらった金額を月々に(例えば1万円ずつ)法テラスに返すことになります。これを償還と言います。利息は付きません。(償還免除については質問8で説明します。)

 

質問5 利用するに当たって資力要件はあるのですか。

答 本来事業であれば世帯人数に応じた資力要件があります。地域(生活保護法の級地など)によって少し異なりますが、例えば東京23区内であれば、単身者で「月手取り20万プラス家賃5万3000円」です。

 

質問6 弁護士は利用者が選べるのですか。

答 法テラスを利用する前に相談していた弁護士を通して利用の申込みをすることは可能です。そうすれば、引き続き利用者の代理人として裁判手続などをしてもらえます。

 

質問7 未成年者でも申込みができるのですか。

答 たとえば未成年者が事故に遭い、加害者あてに裁判を起こすような場合を考えると、典型的な本来事業の対象ですが、裁判手続には親権者の同意が必要なことから、裁判を前提にした法テラスの利用についても親権者の同意を必要としています。(なお、相談は未成年者だけでできます)

そうすると、親からの虐待を理由とした裁判(親権喪失や養育費調停など)が制約されてしまいますので、委託事業のひとつとして「子どもに対する法律援助」を利用できるようになりました。こちらを利用すれば、子どもも申し込めるし、裁判手続以外でも、行政機関との交渉(たとえば児童相談所に一時保護を求める交渉)のための弁護士費用が援助されるようになっています。資力要件もありますが、子ども本人について判断されます。

なお、非行事件を起こした場合の援助は複雑で、弁護士が家庭裁判所での付添人となるには現在は(成人と違って)原則として国選付添人の制度がないため、委託事業の「少年保護事件付添い援助」を利用することになっています。(逮捕されてから家庭裁判所に送られるまでの弁護士については、大人と同じ「刑事被疑者弁護援助」を利用します)

 

質問8 返済の猶予や免除は認められるのでしょうか。

答 本来事業については国の資金(国民の税金)を使っているという趣旨から、生活保護受給者かこれに準ずる者に限定されています。(猶予は判決まで等、かなり柔軟です)

委託事業の場合には、本来必ずしも償還を原則とはしておらず、例外的に利用者負担を求めていますが、援助の開始時点の要件も含め、各々の個別事業の特殊性を考慮した柔軟な運用がされているようです。

 

 

第9 外国人でも利用できるのですか。

答 本来事業は、在留資格があれば、利用可能です。

それ以外の外国人は,委託事業の「外国人」を利用することになります。

また、そもそも本来事業でない行政機関(出入国管理事務所など)での手続についても、

同様です。

 

第10 どちらに申込みをすればよいのですか。

法テラスの事務所は全国各地にありますが、法テラス・サポートダイヤル0570―078374(PHS・IP電話からは03-6745-5600)に電話をすれば、具体的な申込手続を教えてくれます。平日の9:00~21:00、土曜日の9:00から17:00 (日曜祝祭日・年末年始休業)の対応です。

法テラスおよび法テラス・サポートダイヤルについては、日本司法支援センター・法テラスのホームページをご覧になってください。

http://www.houterasu.or.jp/